-
続く命
福岡に行ったら、必ず行くと決めている店がある。 そこは宮野さんが大切にしていた場所にある居酒屋で、「急に具合が悪くなる」の刊行を追うように、2019年の秋にオープンをした。 私がその存在を知ったのは、たまたま。 2019年の秋、この辺りを夕方に散歩... -
独立2年半を振り返る
大学教員をやめてから、3回目の夏がやってきた。 大学を出た当初は、年収200万円台とかが2−3年続くことを覚悟をしていたけれど、幸いそんなことにはならず、楽しく暮らすことができている。 でもきっと、この順調さはバブルみたいなもので、何かをうっかり... -
インタビューにやり方はあるのか- FILTR「聞く力を伸ばす」を振り返る
昨年6月から今年1月までの約半年で、300人以上の方が受講してくださったFILTR人類学講座「聞く力を伸ばす」。 私にしては珍しく、この講座では「伸ばす」という実用的な言葉、つまり役に立ちそうな雰囲気を漂わせる言葉を入れてみた。 とはいえ、「聞く」... -
続く、広がる読書会- 著者と読む「ダイエット幻想」読書会を開いて思ったこと
去年の今頃、「からだのシューレ」で、「著者と読む 『ダイエット幻想ーやせること、愛されること』読書会」というイベントを開いた。 内容は文字通り、私の著作の一つである『ダイエット幻想』を2週間に1回のペースで、1章ずつ読んでいくというもの。 ... -
熊を恐れる友人とめ
熊を恐れる友人とめ(仮名)は、都内のおしゃれな場所で生まれたシティガールである。しかし、眼光は鋭い。 思わず書いた「しかし」に、都会に生まれた女性への偏見を発見し、ぎょっとしているが続けよう。 彼女とはもう10年の付き合いになるが、先日彼女... -
「正しい知識」とは何か?-「正しさ」と「正確」の混同
【「正しい知識」が溢れるコロナ禍】 新型コロナのパンデミックが起こってからの2年間、「正しい知識」というフレーズが、医療専門家やジャーナリストから一般市民に向け、何度も何度も掲げられた。「正しく恐れる」、「正しい感染対策」も、もちろんその... -
言葉の向きと体の向き
色々な人の文章や発言に触れて思うのは、目に見える、耳に入る言葉とは別に、その言葉を発する人の身構えがそこに滲み出てしまうということ。 言葉を見れば、徹尾徹頭論理的で、非の打ちどころのない批判でも、批判を書いている人間の身構えが「こいつ、と... -
「女」だから仕事の依頼が来るということ
今年の春、友人の水野梓さんがWithnewsの副編集長に任命された時のことを記事にしていた。 「女性だから任命した」と伝えるモヤモヤ withnewsスタッフブログ 「ジェンダーバランスを考えても、編集長と副編集長の計3人が全員男性というのはよくないよね」... -
「頑張る」を擁護する
【風当たりの強い「頑張れ」】 この数年「頑張る」への風当たりが強い。「頑張れ」なんて言ってしまったに日は、方々から非難が飛んでくるのでは、というほどだ。 でも、改めて考えてみたい。「頑張る」はそんなにダメなのか。 確かに「頑張る」には問題も... -
「想像する方法」としての人類学者のフィールドワーク
月初旬から国内のある離島で新しいフィールドワークを開始し、第1回目が今日終了した。帰りの船中でこのブログを書いている。 【フィールドエントリーの難しさ】 人類学のフィールドワークでまず一番難しいのは、フィールドに入る時じゃないかと思う。事前... -
友の命日に
ちょうど2年前の今日、京都に向かう新幹線の中で彼女の訃報が届いた。どこかでこの瞬間が来ることは覚悟していたけれど、昨晩電話で話した人ともう今日は話せない。 彼女が急に具合が悪くなって、死んでいくまでを共にしてから、自分は明日死ぬかもしれな... -
「急に具合が悪くなる」韓国からお便りが届きました
「急に具合が悪くなる」の韓国語版発売から1ヶ月と少しが経ちました。韓国ではすでに3刷、4刷も準備中とのことです。 この本を発刊してくださったDadalibroのキムさんより、読者の感想も含めたお便りが届いたので、許可を得て公開をさせてもらいます。 ...