今期はじめて『急に具合が悪くなる』を非常勤先の演習で使っている。
ずっと講義で使ってみたいと思っていたのだが、あまりに私と近いところで書かれた1冊ということと、この本の背景も相まって、なかなか思い切れずにいた。
ただ大学の非常勤というお仕事もそろそろ終わらせようかと思っているこの頃、出版から3年のこのタイミングで思い切って使ってみることにした。
どういう形にするか考えた末、学生同士でペアになって書簡をやりとりしてもらうことにした。そこで書かれたことをもとに演習を進めている。
今どきの学生は、書簡のやりとりなんて嫌かしらと思い、希望者のみとした。でも全員がこの形式で構わないとのことで15組のペアが出来上がり、演習が進んでいる。
この本に関しては出版後の諸々で、「著者の一人が私である」ということだけに限れば、私も死んでいた方が色んな意味でよかったんじゃないかと真剣に思ったことが何度もある。
でも、久しぶりに学生と一緒にテキストにふれ、ああ、宮野さんと自分はこういうふうに言葉をやりとりしていたんだと。こうやって言葉は届き続けるのだと、著者の一人としての僥倖を噛み締めている。
来週は第3便。最終便に辿り着いた時、学生は何を思うのだろう。