どうなりたいかは決められないけど、どうありたいかは決められる

磯野さんが講座で言っていたことが私の生きる指針になった。

FILTR人類学講座「他者と関わる」を第1クールで受講した、「来週還暦なのよ〜」とカラッと笑う女性から突然こんなことを言われた。

こんな人生の先輩にそんなことを言われると思ってもいなかったので、びっくりして一体何が指針になったのかを聞いてみる。

するとそれは私がある回で、ある学問的文脈に基づいて言った「自分がどうなりたいかは決めることができないけど、自分がどうありたいかは決めることができる」という言葉であると。

彼女はそれを聞いて、今の自分はずっとそうやって生きてきたことの結果であり、またこれからもそう生きていこうと思ったのだという。

学問の言葉はたまにびっくりするほどの深さで人に届くことがある。それは学問そのものの力だけでなく、その言葉に出会う人の人生のタイミングとが織りなす共同作業。

こういう瞬間に立ち会うことに恵まれるのは、たまたま学問を伝える立場につくことができた人間の僥倖なんだと思う。

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