FILTR人類学講座『人類学の古典に親しむ-メアリ・ダグラス「汚穢と禁忌」』第1クール終了にあたって。

今週終わりを迎えたFILTR人類学講座『人類学の古典に親しむーメアリ・ダグラスというエアポケット』。扱った本は、人類学の古典の一冊『汚穢と禁忌』。

人生で読んだ本の中で一番難しい本です

最終回のレビューシートの中にこんな言葉が。

とても率直な感想だと思う。これはどう考えても難解な本だ。私としてもそれを知りつつの開講だったので、拙著や、これまでの私の講座を「面白い!」と思って受講を決めた方を、難しさ故にがっかりさせてしまわないかは常に不安の種だった。

だから講座中の皆さんの表情や発言、レビューシートの内容などを常に確認しながら、講座の内容を微調整し続けた。

が、いくらそんなことをしても本の難易度が落ちるわけではなく、読んでくるのは受講生一人一人。だから、そこは何とか頑張ってもらうしかない。

この本は、助走の長い映画みたいなところがある。クライマックスに至る前に「何言ってるの?さっぱりわからない」という場面が続き、終わりに至る前に多くの観客が席を立ってしまう。そんな本だ。

そうならないようかなり努力はしたものの、これまでの講座のように、レクチャー1回ごとに「面白い!」「面白かった!」という感じてもらえるような場面も作りにくい。

だから、終わってみないとどうなるかわからない。そんな不確定な部分が多いまま前半5回、後半5回が終了した。

もちろん受講したすべての人がどう思ったかはわからない。だがすでに提出をされたレビューシートをみてみると、この映画を深い意味で楽しんでくださった人たちがいることを知りほっとしている。

全10回の講座に参加させていただきました。ありがとうございました。 優れた学問は、極めて実践的であるということを実感し、豊穣な学びの機会となりました。ありがとうございました。 講座で学んだことによって、自分の身の回りで起こったことを捉え直し、再定義することができました

普段読書会とかには参加しないので、いつもは一人でマイペースな読書だけど、こうやって自分以外の人と読むのも良いなと思いました…第9章、第10章はようやく(他の章よりも)分かりやすい表現で、読んでいてちょっと鳥肌も出そうなところで線引きまくりでした。

そして、最後の部分。「ここに行きつくための、これまでだったか…」とじーんとしました。

自分の人生の文脈に違和感なくスッと入ってきてくれて、十分な満足感を与えてくれる本がよいという風潮の中、試行錯誤しながら最後まで来てくれた受講生の皆さんには感謝しかありません。

さっぱりわからなかった文章が、ある日突然腑に落ちる。

講座が終わった今日からは、そんな古典の醍醐味を味わってもらえたらと思います。

最後に『汚穢と禁忌』の読解にこれまで3回挑戦してすべて挫折していたという方のツイートを紹介したい。

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