インタビューにやり方はあるのか- FILTR「聞く力を伸ばす」を振り返る

昨年6月から今年1月までの約半年で、300人以上の方が受講してくださったFILTR人類学講座「聞く力を伸ばす」

私にしては珍しく、この講座では「伸ばす」という実用的な言葉、つまり役に立ちそうな雰囲気を漂わせる言葉を入れてみた。

とはいえ、「聞く」は習うものではない。「伸ばす」とか、「身につける」とかそういう類のものではない、と言われれば一理ある。

「聞き方」について学んだことのある人が驚くほど少ないのは、そういう理由なんだろう。実際、習ったことがなくても上手な人は多々いるし。

でも何らかの形で「聞く」を仕事にしていて、ましてや教えたり、調査に使ったりしているんだったら、1回くらい学んでみてもいいんじゃないかと思う。

そしてその中身は、相手の横に座りましょうとか、相手の言葉を繰り返しましょうとか、そういうハウツーではない。

「相手の話を聞く」とはどういうことなのか。それを考えた上で、それに即した聞き方を知り、使ってみること。その上で、自分の現場にアレンジしていく。

人類学はその学びが提供できる。

と、私は少なくとも確信していたので、このような講座を開いてみることにした。

私がはじめて聞き方を習ったのは修士1年生の時。そこで指定された教科書はこちら。

初版は70年代だけど、これはかなり使える。なので講座もここにあるエッセンスを取り出しつつ、私自身の経験を混ぜる形で進めた。

結果だけど、人類学の「聞く」は思っていた以上に汎用性が高いことがわかった。

「講座のおかげで、インタビューの仕方が変わり、より深く聞けるようになった」といった感想だけでなく、「雑談が上手になった」、「婚活に使える」といった変わり種の意見まであった。

これはまずもって、人類学が蓄積してきた「聞く」についての知見の力だと思う。

でもそれに加え、講座最終回に「インタビュー結果を、相手に作品にして渡す」という課題を入れたことがよかった。

実はこの課題を設定した当初、そこまで大切とは思っておらず、「やっぱ応用してみないとね」といった軽ーい気持ちであった。しかし終わってみると、あれは絶対に必要であった、と思う。

課題がもたらしてくれたあれこれついては、次回(いつかは不明)としたい。

あ、でも、ブログタイトルにある「インタビューにやり方はあるのか」という問いの答えは記しておかないと。

インタビューにやり方はない。でも知っていたら便利な知識やツールはたくさんある。でも「聞く」は誰にでもできることになっているので、それを知らずに通り過ぎる人は大勢いる。

「聞く力を伸ばす」は、現在私が他の講座を準備中であるため、開講しておりませんが、また開講する可能性が高いです。ご関心のある方は、販売サイトの「再入荷申込」よりメールアドレスを登録ください。販売開始の際にメールが届きます。

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