心に残る言葉とは何か

学生と話していると「言葉の嘘に気づいている」と感じることがしばしばある。

体感的にも、私が大学生の頃と比べると、優しさや思いやりに溢れる言葉は激増した。日々どこかで、何かしら見かける。でも、そのうちのどのくらいが、その言葉を発している人の生活に根ざしているのだろう。これだけ優しい言葉が溢れるのなら世界はもっと素敵な場所になっていていい気がする。でも実際はそうではない。

言葉の向きと体の向きがあべこべな言葉がずっと多いからなんだろう。学生はそれをしっかり感じ取っている。

だからこそ「嘘のない攻撃的な本音」に惹かれ、その人に希望を感じてしまう。そんなことがあるんだろう。

7月20日は都内で「急に具合が悪くなる」の読書会を開いた。参加くださったみなさんの言葉に気づきをもらった。刊行から6年が経とうとする今も、こうやって読み継がれているのがありがたい。

そして、私自身が、言葉に信を置く力を失いかけていることに気づかされた。気づかないうちに、少しずつ少しずつ削られていたんだろうと振り返る。

7月は自分の依って立つ場所を確認する大切な月だ。

もくじ

心に残る言葉とは何か

6年が経ち、私自身の生活も大きく変化し、考え方も変わってきている。

そんな中いろんな仕事をしてきたけれど、今年は京都大学出版会より、「言葉が言葉でなくなる時―語りを引き継ぎ、死者とともに生きることについての一考察」という論文が掲載された論文集が京都大学出版会より刊行される。

「死の人類学」という科研費の研究会での成果である。

内容は見出し通り、「心に残る言葉とは何か?」というシンプルな問いを、人類学と哲学の理論を使いながら分析したもの。

これは宮野さんとのやりとり(特に8便)を私が分析したものだ。自分のことを書くのはなかなかに大変であったが、歩みを進めることができた、という実感を得ることができた論文になった。

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