いまだに続く医療機関の一律面会制限。批判するメディアが、壮大なマッチポンプに見える件

昨年末くらいから、大手メディアが全国で続く医療機関の面会制限に批判的な記事を出すようになった。

批判の内容には同意するものの、どうにもこうにもマッチポンプに見えてならない。

なぜならそうやって批判をする媒体の中に、不要不急という言葉を無批判に使い続け、「気の緩みで感染拡大」といった政府自治体関係者や、医療関係者の言葉を拡声器のように、年単位で伝えいたものがそれなりに混ざっているからである。これでは文字通り鮫島伝次郎ではないか。

鮫島伝次郎:漫画「はだしのゲン」の登場人物。戦中は戦争を賛美していたが、戦争が終わった瞬間に自分は戦争反対派であったと言い出す。

人と人の出会いが大切だとそんなに言うのなら、なぜもっと早くにそれを言わなかったのか。たとえば遅くても2023年の春とかに。

中日・東京新聞に掲載された記事でも述べたが、2020年に医療現場に入った若手にとって、面会制限はもはや医療の通常。なぜこんな状況になるまで「待ち続けて」いたのか。

過剰な面会制限が許容される空気を作り出すことに加担してきた人々が、それを反省することもなく、面会制限を批判する。壮大なマッチポンプである。

他方、面会制限を批判してきた人たちは、ようやくこの問題をメディアが広めてくれるようになったと、メディアに対する批判のトーンを落としている。でも、自分たちが言って欲しいことを言ってくれているからという理由で無批判に喜んでいいのだろうか。

汚い言葉でメディアを批判すべきだとか言っているわけではない。態度変えた記者を探し出し、キャンセルしろと言っているわけでもない。「常に同じ態度で居続けるべきだ」だと態度を変えた人を責めたいわけでもない。人の考え変わるから、それはそれで構わない。

でも、「なぜあなたは、このタイミングで態度を変えたのか」。そういう問いはなされるべきだし、メディア自身もそういう反省をする中で、中間の言葉を探していくべきだ。そうでないと、第二のコロナ禍がやってきた時に、また逆ブレが起こるだろう。「出会いが大切」と今になって威勢良く言っている人たちが、「不要不急」の大合唱をまた始めるだろう。

少なくともニューヨークタイムズは、2024年の5月 、「感染予防の大切さを訴えようとするあまり、自分たちに都合のいいエビデンスを強調し、そうでないものを過小評価してしまった」という反省の記事を載せていた。日本にもこういう記事は出ているのだろうか?(ご存知の方いたら教えてください)

面会制限を批判するメディアは、それまでの自分たちの5年間も併せて振り返ってほしい。切に願う。

LINKS

あわせて読みたい
面会制限はどこまで続く?ー中日・東京新聞掲載のインタビュー記事を全文公開します 中日新聞(1月13日)・東京新聞(1月15日)の特集記事で、面会制限について問題提起を致しました。特集のテーマは、「コロナ5年 何が変わったか?」。許可をいただいた...

ご面会は、いつまでゴメンなのかい?|栃木県鹿沼市で高齢者デイサービス2件と小規模有料老人ホームを運営されている、こばちんさんのブログ。

  • URLをコピーしました!
もくじ